本記事では、マニキュア(ポリッシュ)がどうして固まるのか、マニキュアの成分について、実際にマニキュアの原料を触り、処方開発をしたことのある化学者ネイリストの私が解説していきます。
・マニキュアってなんで固まるのに時間がかかるの?
・ジェルとマニキュア、成分の違いがわからない!
・マニキュアって何でできてるの?
このような疑問をお持ちのマニキュア愛用者さんやネイリストの方々に向けてお伝えしたいです!
成分のことがわかるようになると、いずれネイルの一つ一つの道具や作業の意味が分かるようになりますよ~^ ^
成分と原理がわかったら、よりおもろいで!!
そもそも、マニキュアは化粧品
一度少し触れたことがあるのですが(過去の記事はこちら)、マニキュア(ポリッシュ)というのは化粧品に分類されます。
化粧品とは:身体への作用が緩和で、皮膚/髪/爪を清潔にしたり、美化するために使用するもの
というわけでマニキュアは結構化粧品会社の中で研究開発が行われていたり、いろんな化粧品メーカーから販売されているんです。
もちろんジェルネイルも化粧品に分類されるものは化粧品を製造している会社から販売されているものもあります。
私の場合はというと、マニキュアの処方開発は経験がありますが、ネイル用ジェルの開発経験はないんです~!
ジェルネイルの処方開発すんのも、夢やねん!
いつかやってみたいなあ~
マニキュアを構成する主な要素は3つ!
マニキュア(ポリッシュ)にとって大事な構成要素は、合成樹脂、溶媒、可塑剤の3つです!
カラーポリッシュであればもちろん顔料も入ってきますが、本日は上記3成分に焦点をあてて見ていきますね!
マニキュアに含まれるすべての成分は、ガラス容器の中で、溶媒のおかげで溶け込んで混ざり合っています。
溶媒がなくなり、最終的に樹脂と可塑剤がお爪にフィットする膜を作ってれることになります!
マニキュア(樹脂、可塑剤、溶媒)から、溶媒がいなくなることでマニキュアは固まる
1つ1つの成分について詳しくみていきましょう!
要素1 合成樹脂
合成樹脂といえば、ジェルネイルにも含まれていましたね!?(ジェルネイルの解説記事はこちら)
合成樹脂とは、人工的に作られた高分子(ポリマー)のこと
ただし、ジェルネイルに含まれる樹脂とマニキュアに含まれる樹脂は全く別物です!
マニキュアに含まれる樹脂は単体だとガッチガチに硬いです。これを溶媒に溶かすことでさらさらとした液体になり、お爪に簡単に塗布できるんですね。溶媒が乾くことでまた元の硬い状態に戻っています。
それに対し、ジェルネイルに含まれる樹脂は元はトロッとした液体で、光(+開始剤)による化学反応により硬化します。このような樹脂は光硬化性樹脂と呼ばれます。
マニキュアによく使用される樹脂としては、ニトロセルロースと呼ばれるものが有名です。
・ジェルネイルの樹脂は元々液体で光硬化性がある
・マニキュアの樹脂は元々固体で、溶媒と混ぜることで液体になっている
要素2 溶媒
溶媒、あるいは溶剤と呼ばれますが、ほぼ同じ意味なので呼び方は正直どっちでも良いです。固体や液体を溶かす液体のことを指します。
マニキュアに使用される溶媒は、樹脂や可塑剤、顔料など全ての成分を溶かし込み、マニキュア全体の粘度を調整する役割もはたしてます。
マニキュアで使用される溶媒というのは、結構ものを溶かす力が強いです。
また、揮発性の溶媒が使用されるため、マニキュアを塗布した直後からどんどん空気中に飛んでいってくれます。
マニキュアに使用される溶媒は放置しているとどんどんいなくなってマニキュアが固まり始めてしまうので、保管中も気をつける必要があります。
そのためマニキュアはジェルとは異なり、かならず機密性が高く、溶媒の溶かす力にも耐えうるガラス容器に入っています。
マニキュアによく使用される溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等です。
マニキュアの保管時は、容器の気密性に注意
要素3 可塑剤
突然見慣れない単語ですが大丈夫です!まだ離脱しないでください!!!
可塑剤とは、ある材料にやわらかさを与えるために添加される物質のことを指します。
マニキュアに含まれる可塑剤は、樹脂に柔らかさを与えています。
樹脂は単体だとバッキバキです。それを溶媒に溶かしてなんとかお爪に塗ることができますが、このまま溶媒がいなくなったらどうなるでしょう、、、?
そう、お爪の上でバッキバキの膜となりひび割れます。お爪の上で、個々のカーブに沿った綺麗な膜を作るには、樹脂に柔軟性が必要になります。
マニキュアによく使用される溶媒は、クエン酸アセチルトリブチル、カンファー等です。
マニキュアが固まるとは
マニキュアが固まる、乾くというのは一体成分たちはどういう状態になっているのか、以下に流れをまとめました!
- お爪に塗布した直後から、マニキュアの表面からどんどん溶媒が飛んでいく
- 溶媒が少なくなった表面から樹脂が膜を作りはじめる
- 完全に溶媒が飛んだら、可塑剤と樹脂が残り、程よい硬さと柔軟性のある膜ができる
さてこの完全に溶媒が飛ぶには、大体24時間かかると言われています。
え!揮発性溶媒ってすぐ揮発するんじゃないの?
溶媒は単体でさらさらな状態やとすぐ揮発するけど、
ドロドロの混ぜもんからは揮発しにくいねん。
お爪に塗った直後の、さらさらのマニキュアでは表面からすぐに溶媒が飛び始めます。
するとお爪に残ったマニキュアはどんどん濃縮されてドロドロになっていきますね。さらに表面には割と硬い膜ができ始め蓋をされているような状態になるため溶媒が飛びきるのには時間がかかります。
表面だけ乾いているけど、中のマニキュアが乾ききっていないという状態は長く続きます。
24時間たたなくてもお爪は触れる!
とはいえマニキュアというのは完全に乾ききる24時間がたたなくても、軽くなら表面が触れるようになります。
それは、樹脂であるニトロセルロースが、溶媒を含んだ状態でも膜を作ることができ、さらにその膜がベタつかず、触っても手に付着しにくいためです。
実際完全に乾く前に軽く表面を触っても手にはつかないのですが、力を入れて、たとえばお爪をたててグッと差し込んだらぐにゃっと跡が入ってしまいます。
マニキュアの表面に触ることができても、完前に乾くまでは油断しないようにしましょう!
完全に乾くとぐっと力を入れても跡がつかなくなります。
マニキュアの化学。マニキュアが固まるってどういうこと?のまとめ
本記事では、マニキュアに含まれる主な成分や、マニキュアが固まるってどういうことなのかについて解説していきました。
- マニキュアの主な構成要素は、樹脂、可塑剤溶媒の3つ
- マニキュアが固まるとは、溶媒が揮発することを意味する
- マニキュアの溶媒は揮発性が高いため、気密性の高いガラス容器で保管する
- 表面はすぐに乾くが、完全に固まるには時間がかかるため注意
マニキュアの硬化っていうのは化学反応というよりかは物理的なものということです。
そこもジェルネイルとは大きく異なる点かなと思います。
マニキュア愛用者さん、セルフネイラーさん、ネイリストさん、ぜひマニキュアの理解にこちらの記事をご活用ください!
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