ネイルで使用するエタノールに種類があるの知ってた?違いを解説!

化学とネイル

ネイルは衛生管理を非常に重んじる分野なので、ほとんどのネイリストは消毒用にエタノールを用いたことがありますよね。

コロナ渦を経て、もはやエタノールはネイリストのみでなく世の中全体にとても馴染みのあるものになりましたが、化学物質としてエタノールの性質ってご存知でしょうか。

・そもそもエタノールってなに
・エタノールは消毒以外にも使えるの?
・無水エタノールって聞いたことあるけど何者?

化学物質として、とまでいかずともこれらの疑問を持ったことのあるネイリストの方、いらっしゃいませんか。

本記事では、化学系大学院卒で且つネイリストの私が、普段サロンでよく使用するエタノールについて、それ自体の性質や種類による値段や中身の違い、また、使用上の注意についても解説していきます!!

この記事を読むことで、エタノールの本質を理解でき、ネイルケア全体の各場面でなぜエタノールが大活躍するのかがわかるようになります!!

化学者
化学者

エタノールに詳しくなったら、
ネイルにも詳しくなれるで!!!

エタノールの基本的な性質

エタノールと言えば消毒に用いられることで名をはせていますが、基本に立ち返るとエタノールも有機溶媒の一つなのです。

そこでまずはエタノールの特徴をいくつかまとめてみました。

エタノール(無水)の特徴

・アルコールの一種
分子が小さい
水にも溶媒(油)にも溶ける
・揮発性、引火性がある
危険物第四類アルコール類

構造は覚える必要はありません!!が、分子が小さくていろんなものに溶けやすいというのが大きな特徴です。

そして実はエタノールが危険物に該当しているのって知ってました!?

ネイリスト
ネイリスト

ヒッ,,,危険物て、、、!!お前危ないやつやったんか、エタノール!!!

化学者
化学者

確かにエタノールは危険物に該当するけど、危険物やからって

絶対排除する必要はなくて、正しく扱うことが大事やねんで!!

これはアセトンも一緒!!

ネイリスト
ネイリスト

あれ、そういえば確かにエタノールの特徴って、、、

アセトンにめっちゃ似てへん!

化学者
化学者

よく気づいたな!!
そう、実はネイリストおなじみのエタノール(無水)とアセトンって
結構よく似てるんよ!!!

詳しくアセトンの特徴を知りたい方はこちらの記事でご確認ください。

そう、実はアセトンとエタノールって以下の特徴がかぶっています。

・分子が小さい!
・水にも溶媒(油)にも溶ける!
・揮発性と引火性がある
・危険物第四類

では何が大きく違うのかというと

揮発性や引火性はアセトンの方が高い
・アセトンは性質として有機溶媒(油)感が強い、つまりものを溶かす力が強い
・エタノールは性質として水に近い、つまりものを溶かす力はアセトンより劣る
・エタノールの方が皮膚への刺激が少ない
・アセトンは消毒には使えない、というか使ってはいけない

一言でまとめると、エタノールとアセトンはよく似た性質を持つのですが、アセトンの方がなんだかいろいろととんがりまくっている!!ということです。

ネイリスト
ネイリスト

エタノールの方がやさしい感じがする!!

やから同じ危険物でもあんまり危険!!てイメージがないんや!!

化学者
化学者

せや!!でも基本的な性質としてアルコールは危険物ってことは

頭に入れとこな!!

実はエタノールとアセトンは色々似ているが、エタノールの方が優しく、アセトンの方がとんがっている

ここをしっかり理解しておけば、どういう場面でなぜエタノールを用いるのかがわかってくるようになりますよ!!!

よく見るエタノールの種類は2種類

よくお店で販売されているエタノールというのは、大きく分けると無水エタノールと、消毒用エタノールの2種類に分けられます

この2種類の大きな違いは、エタノールの濃度です!!

・無水エタノール→ほぼ100%純粋なエタノール(99.5vol%以上)
・消毒用エタノール→水とエタノールの混ぜもん(76.9~81.4vol%)

ちなみにここでvol%というのは体積で考えた時に、どれくらいの割合のエタノールが入っているかということです。

例えば100 mlの消毒エタノールには、水が23.1~18.6 ml、エタノールが76.9~81.4 ml含まれているということです。

無水エタノールと、消毒用エタノールは濃度が違う!!

消毒用エタノールの容器のなかでは、水とエタノールは分離せず均一に混ざってる!!

ネイルにおける2種類のエタノールの使い分け

ネイリストがエタノールを用いるときは、先ほどの項で述べた2種類のエタノールを使い分ける必要があります。

・手指や器具の消毒には消毒用エタノール
・油分水分除去には無水エタノール

それぞれについて詳しく解説していきます!

消毒するなら消毒用エタノールを用いる

もしエタノールを用いて消毒がしたい場合、手指、器具に関わらず消毒用エタノールを用いる必要があります

理由は2点、無水エタノールと比べて以下のような特徴が出てきます。

・揮発性が無水エタノール単体時より低くなるから
・無水エタノールに比べて肌への刺激が少ないから

冒頭でエタノールには揮発性があり、危険物だ!ということをお伝えしましたよね。

ちなみに揮発性とは瞬時に蒸発していなくなってしまう、という性質のことです。

それらの性質を、水と混ぜることで抑えられているのが消毒用エタノールなんですね。

水には揮発性もなければ基本的に肌への刺激もないものなので、エタノールと混ぜると、純粋にエタノールが薄まることになるので、本来の特徴も薄められるのです。

エタノールが水と一緒になることで、すぐに揮発せずにしばらく手指や器具にとどまってくれるため、しっかりと消毒の効果を発揮することができます。

また、エタノールは水分と混ざりやすいので、無水エタノールをそのまま手指に晒すと過剰に水分をうばっていなくなってしまう(揮発してしまう)ので、あまりよろしくないです。

消毒の効果を発揮し、水分を過剰に奪わない消毒用エタノールで消毒は行うようにする

化学者
化学者

ちなみに単体では危険なものを薄めて使いやすくするっていうのは

エタノールに限らず化学の分野ではよくあること!!

水分、油分除去には無水エタノールを用いる

ネイリストの皆さんはネイルの際の、お爪の水分、油分除去にはプレプライマーを用いる方が多いかと思いますが、実は無水エタノールがその代わりを担うことができます

なぜなら無水エタノールは

水にも油にも溶けやすい=水も油も除去しやすい

という特徴があるためです。

ネイリスト
ネイリスト

あれ、じゃあアセトンも水分、油分除去に使える??

化学者
化学者

理論上は除去力を持つことは確かやけど、

アセトンはエタノールよりもとんがってるんよ!!
やからアセトンは油分水分除去には使いたくないかな。

肌への刺激は消毒用エタノール<無水エタノール<アセトンの順に強くなるので、それぞれの特徴を理解し、適材適所で上手く利用することが大切ですよ。

ここで、消毒用エタノールで油分除去を行おうと思っても、必ずお爪に水分が残ってしまうことになるため、消毒用エタノールを水分油分除去には使えないことも理解しておいてください!!なんせ水でお爪を拭くことになり、水分が残ってしまうので!!

最後に、無水エタノールの利用方法としてもう一つ、精製水と混ぜることで、消毒用エタノールを自分で作ることもできる、ということも覚えておいて損はないですね。

エタノール使用の際の注意

これまで2種類の濃度違いのエタノールについて解説してきましたが、60%以上の濃度のエタノールというのはすべて危険物に該当するため、使用の際は注意が必要です!!

ネイリスト
ネイリスト

ほな消毒用エタノールも危険物なんかい!!こわい!!!

ネイリスト
ネイリスト

まちまち、最初にもいったけど大切なことは

やたらと怖がることじゃなくて正しく扱うことや!!

ネイリスト
ネイリスト

せやったせやった。(深呼吸)

じゃあその正しい取り扱い方っていうんを教えてもらおか!!!

ではエタノールを用いる際の注意点をまとめますね!!

・使用する際は必ず換気を行う
・火気厳禁!火元が近くにあるとすぐ引火する!!
・直射日光や高温禁止!!
・アルコール耐性のある容器に入れて用いる

ここまでこの記事を読み進めてくださった方は、これらの注意事項がすぐに想像できたかもしれませんね。

エタノールは揮発性や引火性のある物質ですので、火気はもちろん厳禁ですし、揮発性があるため必ず使用の際は換気が必要です。

さらに、エタノールもアセトンよりは弱いものの、ものを溶かす力があるため、材質によっては容器を溶かすこともあります。

何かの容器にエタノールを移す際は必ず事前にエタノール耐性を確認しておくようにしましょう!!

ネイルで使用するエタノールに種類があるの知ってた!?違いを解説!のまとめ

本記事では、ネイルでよく使用するエタノールについて、その性質や種類、それぞれの違いを解説してきました。

・エタノールは水にも油にも溶ける
・消毒用エタノールと無水エタノールがの2種類に分けられる
・それぞれの性質を理解し、正しく扱うことが大切

エタノールに限らず、ネイルに用いる道具や、動作というのは意味から理解しておくのが大切です。

基本を一つずつ理解しておくことで、ネイルの理解がどんどん深まっていきます!!

この記事を参考に、ぜひエタノールを正しく扱えるようにしていきましょうね!!!

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