ネイルを愛用している方にとってマニキュア(ポリッシュ)やジェルネイルはとても身近な存在になりました。
ただし扱いに高度な技術が必要なアクリルスカルプチュアというネイルの存在は、今も昔もずっとネイル業界を支えています。
もしかしたらもっとも原理が謎めいているのがアクリルスカルプチュアではないですか?
・アクリルスカルプチュアってどういうふうに固まるの?
・なんでジェルはライトがいるのにアクリルはライトがいらないの?
・なぜパウダーとリキッドを混ぜるの?
・どういう成分で成り立ってるの?
このような疑問をお持ちの方々に、化学者である私がしっかり踏み込んで原理を解説していきます!!
できるだけわかりやすく解説するので、アクリルについて詳しくなりたい、原理まで深く理解してアクリルに向き合いたい!というアクリルスカルプチュア愛用者さん、必見です!!
![化学者ネイリスト](https://nailchanya.com/wp-content/uploads/2024/05/d5c3406f544df97eb45780f2b5a95d85.png)
触んのも原理も奥が深いアクリルちゃん。
どうせなら原理まで理解して丸っと愛そう!!!
アクリルスカルプチュアに大事な要素は3つ!
アクリルスカルプチュアがに重要な要素は、合成樹脂、モノマー、反応開始剤の3つです!!
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合成樹脂:アクリルパウダー(粉)のこと
反応開始剤:アクリルが固まりはじめるきっかけを作る
モノマー:アクリルリキッド(液体)のこと
開始剤はリキッドかパウダーのいずれかに含まれています。
アクリルを用いる際はパウダーとリキッドを混ぜてミクスチュアを作りますが、そこで反応が起こり固まることができます!
アクリルパウダー(合成樹脂)とリキッド(モノマーと開始剤)と混ぜることでアクリルスカルプは固まる
それぞれの要素について詳しく見ていきましょう!!
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アクリルパウダーとリキッドもいつか開発してみたいな~~
要素1 合成樹脂
マニキュア(ポリッシュ)やジェルネイルでも登場した、合成樹脂。アクリルスカルプでも主役となっています!
人工的に作られた高分子、すなわちポリマーのこと!
マニキュアにもジェルにも含まれている合成樹脂ですが、マニキュア、ジェル、アクリルに使用される樹脂はそれぞれ全く別物です!!
合成樹脂というのは一般名称なので、天然でないポリマーは構成成分に関わらず全部合成樹脂なんです。
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合成樹脂ってむっちゃ多様!
人類の生み出した素晴らしき技術!有難う!!!
マニキュアの樹脂はがちがちの固体、ジェルの樹脂は粘度のある液体でしたが、アクリルスカルプの樹脂は固体です。
これは皆さん良く知ってると思います。なぜならアクリルパウダーの主成分が合成樹脂なので、ほぼあのパウダーの見た目がまんま樹脂だと思っていて大丈夫です!!
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パウダーの一粒一粒が高分子!!
スカルプに使用されるアクリル樹脂の名前は、ポリエチルメタクリレートをはじめ、○〇メタクリレート、○○共重合体というものが多いです!!
要素2 開始剤
アクリルスカルプで用いられる開始剤は、熱重合開始剤と呼ばれるもので、熱が与えられる、もしくは反応促進剤の存在により、自身の状態が変化します。
この変化した状態の開始剤がモノマーに働きかけることで反応が開始します!!
本来熱重合開始剤が、反応を開始できる状態になるには高温が必要なのですが、反応促進剤のおかげでアクリルは常温で固まってくれるんです!!
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アクリルの開始剤は反応促進剤か
熱によって反応を開始できる状態に
変化!
ちなみに、ジェルネイルでも開始剤が必要ですが、そちらは光重合開始剤ですのでアクリルの開始剤とは異なります!(詳しくはこちら)
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この開始剤がなければ我々はジェルもアクリルも
楽しまれへんねんで~!!重要な存在よね。
実際にアクリルスカルプに用いられる開始剤は過酸化ベンゾイル、反応促進剤は第3級アミンと呼ばれるものです!
室温によって硬化速度が変わるのは
普段からアクリルに触れいている皆様は、経験則的に夏はアクリルの硬化速度が速く、冬はアクリルの硬化速度が遅いことはご存知ですよね。
基本的に化学反応というのは「熱をかけると早く進む」というものが多いのですが、特にアクリルの反応においては室温と硬化速度の関係は開始剤の性質も関わっています。
アクリルスカルプで用いられる開始剤は、熱をかけることでも反応を開始する力を得られる熱重合開始剤です。
つまり、室温が高いほど開始剤もより良く働いてくれるので、硬貨速度が速くなるんです!!
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化学がわかったら、ネイルサロンでの現象を
経験だけじゃなく原理からも理解できるようになるで!!
要素3 モノマー
モノマーというのは高分子(ポリマー)を構成する際の最小単位です。すなわちポリマーの中で頑張ってたくさん手をつないでくれている子たち一人ひとりですね。
アクリルパウダーにすでにモノマーたちが手をつないだ状態で存在していますが、アクリルリキッドの中にはそれとはまた別のモノマーが、手をつなぐ前の状態で存在しています。
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モノマーは基本サラサラ!
なのでアクリルリキッドはサラサラの液体!
このモノマーちゃんたちは無双状態の開始剤と出会うことで手をつなぎ始めます。
手をつなぎ始めてから手をつなぎ終わるまでの時間が、アクリルリキッドをアクリルパウダーと混ぜてから完全に固まるまでの時間なのです。
この、手をつなぎきるのにかかる時間は、反応の種類やモノマーの種類、条件などにより異なるのですが、例を挙げるとジェルネイルの光重合よりもアクリルスカルプの重合の方が反応に時間がかかるということはすでにご存知ですよね!!
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モノマーは無双状態の開始剤と出会うとどんどんモノマー同士で手をつないでいく!!
ちなみにアクリルスカルプで使われるモノマーの名前は、メタクリル酸エチルをはじめとしたメタクリル酸エステル(メタクリル酸○○系)です!
アクリルスカルプが固まるとは
主要な登場人物が確認できたので、いよいよアクリルスカルプチュアが固まる際の反応の流れを確認しましょう!
以下に流れをまとめます。
- リキッドをしみこませた筆でパウダーを取ることで、ミクスチュアの中で合成樹脂のポリマーとモノマーが出会う
- モノマーがポリマーにしみこみつつ、開始剤により重合が始まる
- モノマーとポリマーが手をつなぎきったら、アクリルが完全に硬化した状態になる
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1.ミクスチュアの中でポリマーとモノマーが出会って
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2.モノマーがポリマーに染み込んでほぐしつつ、3.手をつなぎ終えたら完了!
反応が完了し、アクリルが硬化しきった時点で全体がどれだけ均一かがアクリルスカルプの強度に関わります。
リキッドが少なすぎるとしっかりモノマーが樹脂(ポリマー)に染み込みきらず、リキッドが多すぎると今度はモノマーの比率が多すぎて硬化するのに時間がかかってしまいます。
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リキッドとパウダーの量を適切に調整することが
反応を完了さして強度を出すためのポイント!
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皆簡単そうに扱ってるけど、
最適なリキッド:パウダー比を
見極められるようになるには
実はかなり練習がいるんよな。
アクリルスカルプチュアネイルの化学。粉と液が固まる仕組みのまとめ
本記事では、アクリルスカルプチュアに含まれる成分や、アクリルが固まる際、すなわち粉と液を混ぜた時に固まる仕組みを解説していきました。
- アクリルスカルプチュアの主な構成要素は、合成樹脂、モノマー、反応開始剤の3つ
- アクリルスカルプチュアの硬化は、熱化学重合反応
- アクリルスカルプチュアの硬化と強度には、リキッドとパウダーの比が重要
アクリルスカルプチュアは完全に化学反応です。ジェルと同じく重合反応ではありますが、光の有無が大きく異なっていますね。
こちらの記事でアクリルを深く理解し、内部で何が起きているかを頭の片隅に置きつつ、日々扱う際にも意識してみてくださいね!
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