ジェルネイルを使用しているとよくこんなことを耳にしませんか??
・酸って恐ろしいもの!!酸入りの製品はダメ!
・酸が入ってない製品は安全♪
・酸はお爪をドロドロに溶かす
これらの限定的な認識は、一度捨ててください。
本記事では、酸自体の性質やネイルに使用される酸について、化学系大学院卒かつ現役ネイリストの私が詳しく解説していきますので、酸に対する偏見を一度なくし、まっさらな気持ちでこの記事を読んでもらいたいです。
本記事を読むことで、酸というものを根本から理解し、ネイリストとして自分で考えて製品を選べるようになり、お客様にネイルを提供できるようになりますよ!!

正しく知れば、情報に惑わされない!
正しく理解できれば、何も怖くない!!
酸って何?
酸の定義というのは、実は3つ存在しています。どれも正しいです。
アレニウス酸:水素イオン(H⁺)を放出できる分子やイオン
ブレンステッド酸:相手に水素イオン(H⁺)を与える分子やイオン
ルイス酸:電子対を受けいれられる空の電子軌道をもつ原子や分子、イオン

???
ちょっと何言ってるかわからん、、、。

化学界でしっかり決められた定義が
あるってことを知っといてくれたら大丈夫よ!!
いきなり難しい単語がたくさん出てきて混乱した皆様も、大丈夫です!!
大事なことは、酸というのは決められた定義があり、危なくてものを溶かすものがすべて酸!というわけではなく、その定義に当てはまるものを酸と呼んでいるだけ、ということです。

なるほどじゃあ酸っていうのはただの一般名称に過ぎないってことね。

せや!酸の定義に当てはまるものを一括りに酸って呼んでて、
酸の中にもいろいろおるってことを理解してほしいな!
酸の性質を表す指標pH

各物質のpH
酸の性質、すなわち酸としての強さを表す指標の一つに、pHというものがあります。
pHは水素イオン濃度指数とも呼ばれています。

よし、pHなら聞いたことある気がするで!
で、これが何なん?

このpHの大小で酸の強さがわかるねん!!
pHが小さいほど溶液の水素イオン濃度が高いことを表し、酸としての性質が強いと言えます。

小さいほど濃度が濃いってややこしっ!

わかる。
まあなんでかっていうとpHがゼロの数の多さを表しとるからやねんな。
例えば水素イオン濃度が0.1だとpHは1、水素イオン濃度が0.001だとpHは3です。
これなら、ゼロの数が多いほどpHは大きくなりますが、水素イオン濃度は低くなりますよねっ!
とにかくここで大切なことは、pHが小さいほど酸としての性質は強くなるということです!
pHの値が小さいほど酸の性質は強い!
様々な物質とネイル用品に用いられる酸のpH
では身近な酸やよく聞く酸のpHをいくつかご紹介していきます。細かい数値を覚える必要はないため、ばっくりとした値を書いてます!!
・塩酸、硫酸…0
・胃酸…1
・リンゴ酸、メタクリル酸、アクリル酸…2
・お酢、レモン汁、コーラ…2~3
・ワイン…4
・牛乳、コーヒー…5

えまってお酢とかコーヒーも酸なん!?

そやねん最初に述べた酸の定義に当てはめて考えると
コーヒーやお酢も酸ということになるな。
やから「酸」て聞いただけじゃスケールがでかすぎて
何のことを指してるのかわからんのよ。
おそらく皆さんが酸と聞いて怖いとか危険だというイメージがあるのは、頭の中に塩酸や硫酸などの最も強い酸、すなわ強酸が真っ先に浮かぶからなんです!!
でも、実は酸というのは強酸だけではなく、お酢やコーヒー、オレンジジュースなんかも酸性を示す酸ということになります。
そしてしれっとお酢やレモン水と並べてpH2付近に並べて置いたリンゴ酸。
こちら聞いたことがない方は多いかもしれませんが、使用したことがある方は多いかもしれません。
一時期流行したピーリングジェルに良く配合されている酸です。
ジェル状の化粧品。ピーリング成分やお砂糖由来のスクラブにより、古い角質を取り除く効果のある商品。基本お顔用が多い。
ピーリングジェルに配合されているということは、日本の化粧品界で少なくとも皮膚に使用しても問題は無いと判断されている酸ということがわかります(濃度に制限はあり)。
そして、ネイル製品によく用いられるメタクリル酸やアクリル酸と呼ばれる酸のpHも2程度。
なぜかジェルネイルに配合される酸だけは危険なイメージを持つ方が多いですが、事実として、ジェルネイルに配合される酸は、pHという値からはリンゴ酸やお酢などと同程度レベルのものが用いられることがほとんど、ということを覚えていてもらいたいです。
pHでみるとネイル製品に用いられる酸の強さはレモン汁と同程度であることが多い!
酸の危険性を考えるときは濃度も重要!!
酸の強さや危険性について考える際はpHも大事なのですが、それと同時に濃度も重要です。
酸の濃度を薄めれば薄めるほど、水素イオン濃度が下がるのでその強さは弱まります。
たとえばpHだけでみると末恐ろしく感じる硫酸や塩酸。
一瞬でどろどろにものを溶かす映像を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ただし、これらの塩酸や硫酸であっても、水で濃度を薄めると、ものを溶かす力はかなり薄まります。
取り扱いに注意はもちろん必要なものの危険度が下がのです。
たとえば、かなり薄めた塩酸を一瞬手にかけたくらいではドロドロに溶けたりせず、すぐに水で洗い流せば何とかなるレベルです。

これは私の実体験やで!
実験するときは必ず塩酸を薄めて使用してた!
ネイル製品や化粧品というのはたくさんの成分から成り立っていることが多いため、1つ1つの成分の濃度はそんなに濃くなかったりします。
注意が必要な成分であれば配合濃度の上限が設定されるていることもしばしばあります。
そのため、単体でのpHが高い成分であったとしても、製品全体で見た時にはその酸の強さの効力は弱まっている可能性が高いということです。
・酸の濃度が薄ければ、酸の強さ≒危険性も下がる!
・ネイル製品は基本的に混ぜ物なので酸の濃度は薄まっていることが多い
ネイル製品に含まれる酸の見分け方
ネイル製品に含まれる酸の見分け方は、全成分表示のなかに「○○酸」という成分があるかないかです!
化粧品であれば全成分表示が義務付けられているため、外箱や容器を確認すると全成分表示を見つけられます。
ちなみにネイル製品は一部ジェルを除き大体が化粧品です。
ここで注意してもらいたいのが、ただ単に「酸」という文字があるかどうがかではなく、「○○酸」のように、「酸」で終わる成分があるかどうかに注目する必要があるということです。
どういうことかというと、以下のような全成分表示のあるネイル製品があったとします(適当でめちゃくちゃな処方です)。
(全成分)
ウレタンアクリレートオリゴマー、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボニル、ポリウレタン-97、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸2-エチルヘキシル、シリカ、赤226
上記全成分のなかに「酸」という文字は合計5つ見つけられますが、これは酸が5つ入っているということではないんです!!
この中で酸に分類されるのは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の2種類のみです!この2種類だけが名称が「酸」で終わる成分だからですね。
メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボニル、メタクリル酸2-エチルヘキシルに関しては名前は似ていますが酸とは全く違う成分です。
- メタクリル酸とメタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルは全く別物
- アクリル酸とアクリル酸イソボニルは全く別物
もしネイル製品に酸が含まれているかどうかを知りたい方は、ぜひ全成分をチェックしてみてください!
「○○酸」という形で、名称が「酸」で終わる成分があればそれは酸
【ジェルネイル】酸って何?酸の性質と見つけ方を解説!のまとめ
本記事では、酸の定義からネイル製品に含まれる酸の見分け方などを解説してきました。
・酸はただの一般名称。
・pHが小さく、濃度が高いほど強い酸であると言える
・化粧品に含まれる酸のpHはレモン汁程度の強さのものが多い
・化粧品に含まれる酸は基本的に混ぜ物で純度100%なんてことはない
・「○○酸」という名称の成分は確実に酸
この記事を参考に酸についての性質を理解し、それを踏まえたうえでご自身に合ったネイル製品選びをしていってもらえたらうれしいです!!
ぜひネイルの理解に化学を役立ててみてください!!




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